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LLMとは?仕組みや種類、メリット・導入手順・活用事例を解説!

 

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ChatGPTをはじめとする生成AIは、飛ぶ鳥を落とす勢いで企業による活用が進められています。その中でも最も注目されている技術が「LLM(大規模言語モデル)」です。

LLMの急激な進歩によって、近年の生成AIは単なる自然言語処理だけでなく、画像や動画の生成など多様な方面で活用され始めています。

このような背景を受け、LLMの導入を検討している方の中には、「LLMにはどのような種類があるのか」「どのように自社の業務に導入すればよいのか」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。  

そこで本記事では、LLMの基本的な仕組みや代表的な種類、メリット・デメリットを紹介します。また、LLMを導入する際の手順や活用事例の解説を通じて、LLMのビジネス活用に必要な実践的な知識を得られます。 


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1. LLMとは?


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LLM(Large Language Model、大規模言語モデル)とは、膨大なテキストデータをディープラーニング技術で学習し、人間のような自然な文章を処理して、生成できるAIモデルです。

OpenAIの「ChatGPT」に採用されているGPTや、Googleが2018年に発表した言語モデル「BERT」や「Gemini」が代表的な例です。

従来の自然言語処理モデル(NLP)と比較して、以下3つが大きく変わっています。


学習データの規模:

ネット・SNS上の公開情報から書籍、論文まで広範囲なテキストデータを用いて学習されている


パラメータ数:

LLMは数十億から数千億といった膨大な数のパラメータを持ち、より高度な文章理解や生成能力を有する


処理の仕組み:

従来のモデルでは単純なルールベースや統計的な手法が使われていたが、LLMではTransformerアーキテクチャなどを採用し、文章の文脈を深く理解しながら処理を行える


上記により高度な自然言語処理が可能になったことで、LLMはテキスト生成・要約・翻訳・質問応答といった幅広い自然言語処理タスクへ活用されています。

 

 

LLMが文章を処理する仕組み

LLMの仕組みは以下のとおりです。

①トークン化

テキストを「単語」「句読点」など最小単位(トークン)に分割する

②ベクトル化(エンベディング)

データを数値(ベクトル)に変換する処理で、単語の意味や関係性を数学的に表現します


③ニューラルネットワークを通した学習

多層構造のニューラルネットワークでデータを処理して特徴を抽出し、単語の関係性や文脈を学習し、言葉の意味や文のニュアンスを解釈する


④文脈理解

テキストの背景や文脈を把握するアテンション機構などによって、単語や文章の適切な意味や重要度、文章全体の意図を理解する

⑤デコード(テキスト生成)

学習した情報をもとに、確率的に次の単語を予測して、生成された数値データを自然な文章に変換し、テキストを出力する


上記のステップを繰り返し行うことで、LLMは人間のような自然な文章を生成しています。

 

 

主な機能

LLMは以下のように自然言語処理機能のほか、多様な機能を持ちます。

テキスト生成:

質問応答や文章作成など、人間が書いたような自然なテキストを生成

文章の要約:

長文の内容を簡潔にまとめ、重要なポイントを抽出

機械翻訳:

異なる言語間でのテキスト翻訳を行い、コミュニケーションをサポート

感情分析:

テキストに含まれる感情や感覚を解析し、ポジティブ/ネガティブ/ニュートラルの感情カテゴリに分類

コード生成と解析:

プログラミングコードの生成、デバッグ、最適化を行う

マルチタスク学習:

自然言語処理だけでなく、画像認識や音声認識といった他分野のタスクも並行して処理


近年登場しているLLMは、自然言語処理にとどまらず、画像認識や音声認識といったマルチタスク処理を行えることが特筆すべき点です。例えば、画像を理解し、それに基づいてテキストを生成したり、音声データから文脈を理解して応答を生成したりします。

 

主要なLLMの種類

LLMは多種多様な種類があります。以下の表に主要なLLMをまとめました。

主なLLMの種類 開発元 概要
GPT OpenAI 高度な文章生成や会話応答が可能で、ビジネスシーンやコンテンツ生成、コーディング支援に活用可能
Gemini Google マルチモーダル大規模言語モデルで画像、音声、映像、コードなど、複数の種類のデータを同時に処理できる
Claude Anthropic 安全性やAI倫理に配慮したモデル
Llama Meta オープンソースだが高性能

上記のLLMを活用する際には、それぞれの特徴や用途に応じて見極めることが重要です。使用目的に応じて適切なLLMを選定することで、導入効果を最大化できます。

 

 

2.LLMのメリット


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LLMのメリットについて、従来の自然言語処理技術(NLP)との比較を中心に紹介します。

 

文脈を理解できる

従来のNLP技術では、単語やフレーズを個別に解析することが主流でした。一方でLLMは前後の文脈を考慮しながら、文章全体を把握できる高度な能力があります。

自然文を理解し、自然で違和感のない文章を生成できるため、LLMは従来のNLP技術と比較して幅広いタスクへ応用可能です。

例えば、FAQシステムでは単純な質問だけでなく、背景や意図が複雑な質問にも対応できます。また、LLMは自然な文章を理解し、違和感のない形で文章を生成できるため、コンテンツ制作の分野でも役立ちます。


汎用性が高い

LLMは、テキスト生成や質問応答、コード生成といった幅広いタスクに対応できます。そのため、特定の用途に限定されず、多様なビジネスシーンで柔軟に活用することが可能です。

例えば、マーケティング分野では、広告文やブログ記事の作成、SNS投稿のアイデア生成などに活用できます。また、コード生成によって新しい機能のプロトタイプ作成やコードレビュー、デバッグ支援といった開発業務をサポートでき、開発現場の生産性向上も期待できます。



カスタマイズ性が高い

LLMは基盤モデルとして、企業のニーズに合わせたユースケースに合わせて調整が可能です。

例えば、企業独自のFAQデータや業界特有の用語を学習させることで、より特化した応答が可能になります。また、医療分野をはじめとする専門性が高い業界の専門用語や複雑な概念を正確に理解し、専門性の高い回答にも対応できます。

 

 

3. LLMのデメリット


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汎用性やカスタマイズ性の高さなど多くのメリットがあるLLMですが、活用を阻むデメリットもいくつか挙げられます。ここでは、LLMのデメリットを紹介します。


計算コストが高い

従来型のNLPと比較すると、膨大なパラメータを持つLLMは学習に膨大な計算リソースが必要であり、高性能なGPUやTPUの導入が必須です。現在のLLMモデルの中にはパラメータが数千億を超えるものも登場しているため、再学習や追加学習が必要な場合にも大規模なパラメータの学習が必要です。

また、学習が完了した後も、運用環境においてモデルを効率的に実行するためには高性能なサーバーが必要であり、ランニングコストも大きくなります。


出力内容の正確性に限界がある

LLMの出力内容には学習データに含まれる偏見や不正確な情報がそのまま回答に反映されることも少なくありません。例えば、特定の文化やジェンダーに偏った回答や誤った情報、LLM特有のハルシネーション(非現実的な回答)が見られることもあります。

LLMの出力に関する課題に対処するためには、学習データの質を高める「前処理」が非常に重要です。

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プロンプトの質に依存する

現状のLLMは、ユーザーの指示(プロンプト)の書き方に大きく依存します。LLMはプロンプトにもとづいて回答を生成するため、表現方法や構成次第で出力結果が大きく変わり、同じ質問でも表現を変えると異なる回答が出力されます。

そのため、意図通りの高品質な結果を得るためには、ユーザー側でのプロンプトの作成方法に関する教育が必要になる場合があります。



4.企業でLLMを導入するプロセス


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企業でLLMを導入するプロセスについて紹介します。

 

適切な基盤モデル(LLM)の選定

企業でLLMを導入する際、最初に取り組むべき重要なステップが適切な基盤モデルの選定です。それぞれ特徴が異なるため、どのモデルが自社のニーズに最適かを慎重に見極める必要があります。

選定時には、以下の3つのポイントを特に考慮すると良いでしょう。

  • 学習済みデータの規模
  • 導入・運用コスト:API連携を活用する場合はAPIのコストを比較
  • カスタマイズ性:自社の業務やユースケースに適合させるためのカスタマイズが可能かどうか



データの収集~前処理

LLM(大規模言語モデル)は事前学習済みですが、特定の業務やユースケースに適応させるためには、追加のデータ収集を行い、RAGという技術を用いて回答を生成させる仕組みが必要です。このデータの前処理は、回答精度やパフォーマンスに直結する重要な工程です。

一般的に必要とされるデータの処理に関する工程は、以下のとおりです。

データ処理工程 概要
データクリーニング 
  • 不要な要素(HTMLタグや特殊記号など)の削除
  • 文字種の統一や小文字化、余分な空白の削除
  • 誤字や文法エラーの修正
テキストアノテーション
  • 特定のタスクに適応させるための高品質なアノテーション済みデータの作成
  • タスクに応じたラベル付け(例:感情分析や質問応答)


上記の前処理のうち、特に重要なアノテーションを正確かつ高品質に行うことができれば、ハルシネーションのリスクを抑え、タスクに適した結果を得られます。

テキストアノテーションの詳細は、以下記事をご覧ください。

「テキストアノテーションとは?種類や自然言語処理で重要な理由、活用例・注意点を解説!」

 

 

テストとチューニング

LLMを導入する際、テスト運用ではモデルの精度などを評価するために、LLMに対して実際のデータを入力し、以下の観点から出力内容を確認します。

出力の正確性:

意図した回答が得られているか、誤情報や偏りが含まれていないか

一貫性:

同じ質問に対して異なる結果が出力されていないか

応答速度:

業務の運用上問題のないスピードで出力が得られるか


上記の項目をもとに実務に適した性能かどうかを細かくチェックします。

次に、テスト運用の結果をもとにモデルのパラメータや設定を調整します。なお、テストとチューニングは一度で完了するものではなく、継続的に行うことが重要です。



改善

LLMの導入後も、運用中に得られるユーザーからのフィードバックを活用し、継続的な改善が不可欠です。

そのためには、まずユーザーからのフィードバックを収集する必要があります。フィードバックを効率的に集めるためには、ユーザーが「満足度」を評価できる「自動化されたフィードバックループ」を構築することも有効です。

そして、収集したフィードバックをもとにモデルを改善します。

 

 

5. LLMの活用事例


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近年は、LLMを問い合わせ業務の効率化やWebコンテンツの制作に活用している企業が増えてきています。ここでは、LLMの活用事例を紹介します。


問い合わせ対応の効率化(広島銀行)

広島銀行の窓口では、顧客を目の前にして迅速に問題を解決する必要があり、直接本部に電話で確認することが一般的でした。しかし、本部では電話対応に多くの時間が取られ、本来業務に割く時間が削られてしまっていました。

そこで、生成AI・LLMを活用したAllganize Japan株式会社の「関連ドキュメント提示機能」と「AIチャットボット」を組み合わせて導入しました。

結果として、平易な内容の電話問い合わせが解消され、営業企画部では担当者1人あたりの1日平均電話件数がリリース前の40件~50件から20件~30件まで削減できました。


コンテンツの自動生成(アステックペイント)

株式会社アステックペイントでは、自社で運営するYouTubeチャンネルの脚本構成に株式会社ユーザーローカルの「ChatAI」を導入しています。社員が制作する動画制作の以下工程でLLMを活用しています。

  • 企画・構成作成のサポート
  • 脚本のアイデア出し
  • トークテーマの流れのチェック

結果として、企画構成から撮影、編集まですべてを内製することに成功し、コンテンツ制作全体の効率化が図られました。


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6.まとめ


LLMは膨大なデータを学習することで高度な自然言語処理を実現するAIモデルです。文脈理解能力や生成能力、汎用性に優れており、コンテンツ生成やカスタマーサポートをはじめとする幅広いタスクに適用されています。

一方で、企業でLLMを効果的に導入するためには、データの収集やクリーニング、テキストアノテーションなどの前処理が不可欠です。導入計画の段階から十分なリソースを割く必要があります。しかし、リソースの確保が難しい場合には、外部の専門企業の活用がおすすめです。

質の高いアノテーションデータをLLMの学習データとして利用し、高精度なLLM活用システムを構築することで、組織全体の業務効率向上を目指しましょう。