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インスタンスセグメンテーションとは?セマンティックとの違いや代表モデル、手法、利点を徹底解説!

 

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画像を複数のオブジェクトに分割するセグメンテーションは、ディープラーニング技術によってより高精度に進化してきました。

セグメンテーションには、セマンティックセグメンテーションやインスタンスセグメンテーションなどの種類があり、インスタンスセグメンテーションは物体を個別に認識することが可能な技術で、従来のセグメンテーションではできなかった、より高度な画像認識を実現します。

この記事では、インスタンスセグメンテーションの概要や他の手法との違い、利点について解説します。インスタンスセグメンテーションで用いられる手法やAIモデルについても紹介しているので、仕組みからアノテーション作業の重要性まで、網羅的に理解できる内容となっています。

画像認識については、画像認識とは?種類・仕組み・AI開発の流れ・事例・問題点を解説!で詳しく解説しています。




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1. インスタンスセグメンテーションとは?


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インスタンスセグメンテーションとは、画像や映像に含まれる個々の物体を識別する高度な画像認識技術です。従来の物体検出のように物体の位置をボックスで囲んで大まかにとらえるだけではなく、ピクセル単位で物体の輪郭まで正確に捉えるため、より詳細な解析が可能です。

また、同じクラスに属する複数の物体が存在する場合でも、個別に識別され、それぞれの形状が分離されるため、正確な数を把握できます。


セマンティックセグメンテーションとの違い

セグメンテーションの主要なもう一つの手法であるセマンティックセグメンテーションは、画像内のすべてのピクセルをクラスごとに分類し、同じクラスに属する物体を1つのグループとして認識します。

例えば、2匹の犬が写っている場合、両方を「犬」という一つのグループとして認識します。

一方で、インスタンスセグメンテーションは物体を個々に識別し、それぞれの輪郭を正確に分離します。同じ例で言えば、2匹の犬を個別に認識し、それぞれの形状を捉えることが可能です。

特に個別オブジェクトに焦点を当てて精密なデータ解析をしたい分野において、インスタンスセグメンテーションはセマンティックセグメンテーションよりも利点があるでしょう。

なお、セマンティックセグメンテーションとは?種類や手法、画像処理活用事例を解説!では、セマンティックセグメンテーションの手法や活用事例などについて詳しく解説しています。

 

インスタンスセグメンテーションの応用分野

インスタンスセグメンテーションは、以下のように応用して活用されています。

  • 医療画像分析
  • 自動運転
  • 産業用ロボティクス
  • 農業


例えば医療現場では、CTやMRIなどの画像から臓器や病変を正確に識別・分離する際の画像解析に利用されています。

また、自動運転では道路上の歩行者や車両、信号などを個別に識別することで、安全な運転をサポートする役割も果たします。


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2. インスタンスセグメンテーションの利点


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インスタンスセグメンテーションを活用する利点として、以下の要素が挙げられます。

  • 物体が重なり合っていても検出できる
  • 複雑な形状の物体でも検出できる
  • 物体数のカウントが容易



それぞれについて解説します。


高精度な物体検出と分離

インスタンスセグメンテーションは、ピクセルレベルで物体を精密に分離することが可能です。これにより、画像内の物体が複雑に重なり合っていても、それぞれを正確に識別・検出できます。

同じクラスに属する物体が複数存在する場合でも、個々の物体を区別して解析できるため、細部にわたるデータ取得や高度な分析が可能になります。

 

詳細な形状情報の取得

バウンディングボックスでは物体の外枠を四角形で囲むだけですが、インスタンスセグメンテーションでは物体の輪郭をピクセル単位で正確に捉えます。これにより、複雑な形状や不規則な物体でも正確な形を解析することが可能となり、精密なデータ処理や解析を実現します。


物体数のカウントが容易

インスタンスセグメンテーションでは、物体数のカウントが容易になります。画像内に存在する同一クラスの物体が重なっていても、正確に個数・個体数を数えることが可能です。

例えば、交通状況の監視や生産ラインでの物体検査において、正確なカウントが必要な場面で有効であり、効率的なデータ収集と解析を実現します。

 

 

3.インスタンスセグメンテーションの基本手法


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インスタンスセグメンテーションに用いられる手法には、以下があります。

  • 畳み込みニューラルネットワーク(CNN)
  • Transformerベース
  • 領域ベースの畳み込みニューラルネットワーク(R-CNN)
  • 全層畳み込みニューラルネットワーク(FCN)
  • ワンショット学習


それぞれの手法について見ていきましょう。

畳み込みニューラルネットワーク(CNN)

畳み込みニューラルネットワーク(CNN)は、画像処理の基盤技術として活用される手法です。CNNは、畳み込み層・プーリング層・全結合層から構成されており、画像中のエッジやテクスチャ、形状といった局所的な特徴を階層的に学習します。


領域ベースの畳み込みニューラルネットワーク(R-CNN)

領域ベースの畳み込みニューラルネットワーク(R-CNN:Region-based Convolutional Neural Network)は、物体検出で広く利用されている手法であり、インスタンスセグメンテーションの基盤となる手法の一つです。

R-CNNは大規模な画像データから関心領域を抽出し、それぞれの領域に対してCNNを適用することで物体の特徴を学習・分類します。

Transformerベース

Transformerベースの手法は、自己注意機構を活用して広範囲にわたるピクセル間の関係を学習することが可能です。
Transformerアーキテクチャは、入力画像をパッチに分割して解析を行います。ピクセル間の相互作用を直接学習するため、物体の形状が複雑であっても、セグメンテーションの精度が向上します。


全層畳み込みニューラルネットワーク(FCN)

全層畳み込みニューラルネットワーク(FCN)は、セマンティックセグメンテーションのために設計されたアーキテクチャです。入力画像全体を処理するために全ての層を畳み込み層で構成し、出力も同様に空間的な構造を保ったまま出力します。

FCNで個々のオブジェクトインスタンスを区別することは困難です。そのため、インスタンスセグメンテーションタスクにはFCNを基盤としつつMask R-CNNのような追加の機構や改良が必要となります。


ワンショット学習

ワンショット学習は、極少数のサンプルデータ、場合によっては各クラスにつき1つのサンプルのみを用いて学習を行い、新しいクラスを認識するための手法です。

ワンショット学習は少ないデータで効率的に学習を行うため、データ取得が難しい場面や、ラベル付けコストが高い状況でも活用できます。


4. インスタンスセグメンテーションに使われるAIモデル


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インスタンスセグメンテーションでは、以下の手法を活用したAIモデルが使われます。

  • Mask R-CNN
  • YOLACT
  • PointRend
  • DETR (DEtection TRansformer)
  • Mask2Former

それぞれについて解説します。



Mask R-CNN

Mask R-CNNは、物体検出とセグメンテーションを統合的に行うディープラーニングモデルです。Faster R-CNNを基盤とし、オブジェクトのバウンディングボックス内でのクラス分類、バウンディングボックス回帰、マスク予測を同時に行います。



YOLACT

YOLACTはシンプルかつ効率的なアプローチが特徴のAIモデルです。物体検出とマスク生成の処理を並行して行うことで、リアルタイムでのセグメンテーション、さらには低い計算コストを可能にしています。

YOLACTでは、プロトタイプマスクとマスク係数の2つの要素でアプローチします。画像全体に対して共有のプロトタイプマスクを生成し、それを各物体ごとに予測されたマスク係数と掛け合わせることで、最終的なマスクを生成します。



PointRend

PointRendは、複雑な形状を持つ物体に対して高い性能を発揮するモデルです。低解像度の予測マップに基づいて関心領域となるピクセルを選択し、そのピクセルに対して高解像度のレンダリングを行うアプローチ手法となっています。

これにより、全体を高解像度で処理する必要がなく、計算資源を効率的に使用しながら正確にセグメンテーションすることが可能です。特に、細かい輪郭や不規則な形状の物体が多く存在するシーンに有効です。



DETR (DEtection TRansformer)

DETR (DEtection TRansformer) は、Transformerアーキテクチャを物体検出に応用した先進的なAIモデルです。

畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いて画像の特徴を抽出し、その特徴マップをTransformerに入力することで物体の位置情報とそのクラスを予測します。複雑なシーンでも物体検出が高精度に実行されます。



Mask2Former

Mask2Formerとは、インスタンス・セマンティック・パノプティックセグメンテーションの3つのセグメンテーションタスクを統一的に処理できるアーキテクチャです。洗練されたマスク注意機構を備えており、複雑なシーンや形状を持つ物体に対して高精度なセグメンテーションを実現します。

 

 

5. 高精度のインスタンスセグメンテーションを実現するためのアノテーション作業ポイント


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インスタンスセグメンテーションの精度を高めるには、アノテーションが必要です。アノテーション作業においては以下のような点がポイントになります。

  • 適切なツールの選択
  • 熟練したアノテーター
  • 効率的なワークフロー


それぞれのポイントについて解説します。

 

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適切なツールの選択

インスタンスセグメンテーションにおけるアノテーション作業では、適切なツール選択が重要です。目的に適したアノテーションツールを使用することで、正確で効率的なアノテーション作業が可能となります。

アノテーションツールには、効率的なセグメンテーションをサポートする多くの機能を備えており、ピクセル単位での詳細なマスク作成や、複雑な形状の物体に対する自動補完機能などが含まれています。

これにより、正確なラベリングが求められる複雑なデータセットにも対応でき、作業効率を向上させることが可能です。

アノテーションツールの選び方については「アノテーションツールおすすめ11選を比較!選ぶポイントや迷った際の選び方を解説」 も併せてご覧ください。



熟練したアノテーター

アノテーション作業においては、熟練したアノテーターが必要です。インスタンスセグメンテーションでは、ピクセルレベルでの正確な境界を示すアノテーションが必要です。そのため、高度なスキルと集中力が求められます。

特に物体が重なっていたり、不規則な形状をしている場合には、アノテーターの技術と経験が問われます。熟練したアノテーターは、インスタンスセグメンテーションモデルの性能向上に欠かせない存在です。



効率的なワークフロー

効率的なワークフローが構築されていないと、高精度のインスタンスセグメンテーションは実現できません。

インスタンスセグメンテーションにおけるオブジェクトの境界の定義や、重なり合った物体をどのように扱うかを明確に規定することが必要です。特に、モデルの初期出力結果を基に、アノテーションを修正・精緻化する反復プロセスが重要になってきます。

 

 

6. まとめ


この記事では、インスタンスセグメンテーションの利点や手法、AIモデル、アノテーション作業でのポイントについて解説しました。

アノテーション作業の品質がインスタンスセグメンテーションの精度に直結します。高品質なアノテーションを行いたい方や企業は、アノテーションを専門とする会社に依頼することも検討しましょう。



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