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顔認証とは?仕組み・顔認識との違い、メリット・事例・注意点を解説!

 

 


顔認証は、セキュリティ向上や業務の効率化を実現する生体認証技術の一つです。スマートフォンのロック解除からオフィスの入退室管理、空港での搭乗手続きまで、さまざまなシーンで活用が進んでいます。

本記事では、顔認証の基本的な仕組み、顔認識との違いなどの概要とともに、具体的な活用事例や導入のメリット、そして導入時に注意すべき点までを網羅的にわかりやすく解説します。

顔認証技術がどのようにビジネスシーンに役立つかわかり、AI(人工知能)搭載やクラウド型などの最新顔認証システムの導入を検討するヒントになる内容が満載です。

 

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1. 顔認証とは?


 

 

顔認証とは、カメラが取得した画像や映像から顔を検出し、特定の個人を認証するための画像認識技術の一種です。AIによる画像認識と画像処理技術の組み合わせにより実現されており、目・鼻・口など個々の顔の特徴をもとに本人確認を行います。

顔認証システムは以下に挙げるようなセキュリティが求められる場面で活用されています。

  • オフィスビルでの入退室管理
  • 金融機関での本人確認
  • イベント会場でのなりすまし防止

顔認証システムを使えば、パスワードやIDカードなど従来の認証手段よりもスムーズかつ安全な本人確認が可能です。そのため、利便性と安全性を両立させるツールとして認識されています。

 

顔認証と顔認識の違い

顔認証と顔認識は基本は同じ技術を使いますが、目的や用途、求められる精度において明確な違いがあります。

「顔認証」は個人の身元確認を目的とし、1対1の照合を行う技術です。つまり、登録済みの顔のデータと、入力された顔画像を照合して本人かどうかを判断します。

主な活用例としては、スマートフォンのロック解除やオフィスビルでの入退室管理など、個人の身元を確認する場面が挙げられます。身元の特定の際に利用されることから、高い精度とデータセキュリティが求められます。

一方、顔認識は未知の人物の特定や分類を目的とし、1対多の識別を行う技術です。入力された顔画像を膨大なデータベースと照合し、一致率の高い顔データを特定します。

活用例には犯罪捜査における容疑者の絞り込みがあり、未知の人物を識別する際に役立てられています。顔認識では、複数の候補を提示することを許容する場合も少なくありません。そのため、相対的に低い精度で十分な場合もあります。

 

基本的な仕組み

顔認証システムでは、画像認識AIのなかでも、特に画像分類という分野の技術が活用されます。

以下にある複数のプロセスを通じて顔の認証を行います。

  • 顔の検出
  • 特徴データの抽出と暗号化
  • 認証と照合

まず、顔認証システムはカメラで取得した映像や画像から個人の顔を検出します。このプロセスでは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)が使用されることが多いです。

CNNは、顔のパーツ配置などの画像的特徴を効率的に抽出するために設計されたニューラルネットワークアーキテクチャです。

次に、CNNにより検出された目の位置や鼻・口の形状などの顔の特徴データが抽出され、暗号化されて保存されます。

そして、認証時には、カメラで新たに取得された顔データと、保存された暗号化データをAIが照合します。照合の際、AIは顔の一致度を分類し信頼度を評価することで、本人確認の精度を高めます。

このように、AIを顔の検出から特徴抽出、データ照合に活用することで、顔認証システムは高い精度と安全性を実現しています。

 

システム構成の種類

顔認証システムの構成は、以下のエッジ方式とクラウド方式の2種類に大きく分けられます。

システム構成の種類 エッジ方式 クラウド方式
仕組み 顔認証システムをエッジデバイスに搭載  カメラ映像をクラウドで処理
メリット
  • 高速でリアルタイムの顔認証が可能
  • 通信コストを抑えられる
  • 高セキュリティ
大規模なエッジデバイス導入が不要
デメリット エッジデバイスの設置が必要
  • 通信コストが高く、帯域幅を多く消費
  • ネットワーク経由での送信によるデータセキュリティリスク

 

 

2. 顔認証の導入が企業にもたらすメリット


 


顔認証は、企業にセキュリティ面や効率面において多くのメリットをもたらします。以下では、顔認証が企業にもたらす具体的なメリットを紹介します。

 

高いセキュリティを確立できる

顔認証は、他の認証手段と比べて高いセキュリティレベルを提供します。顔には個人固有の特徴があるため、顔認証システムでは顔の詳細な特徴データが必要だからです。

他者が同じ顔を持つ確率は非常に低く、パスワードやPINコードと比べてなりすましのリスクを大幅に低減できます。

また、ICカードやパスワードとは異なり、紛失や盗難、ユーザーの物忘れなどが生じません。ですから、カードやパスワードの二重発行や漏えいのリスクは格段に下がります。

また、顔認証と指紋認証やパスワードなどの他の認証手段を組み合わせて、「多要素認証」として利用することで、さらにセキュリティを強化できます。多層的な認証プロセスにより、セキュリティリスクを最小限に抑えつつ、堅牢な保護が可能です。


ユーザーの利便性の向上

顔認証では、ユーザーの手がふさがっている場合でも簡単に通行可能です。例えば、荷物を両手で持っている場合にも、認証カードなどを取り出すことなく、顔をかざすだけで認証が完了します。

また、一般的に従来のICカードなどの認証手段に比べて認識スピードが早いことも多く、オフィスやイベント会場などで大勢が移動する際の待ち時間を減らすことも可能です。

したがって、顔認証システムを導入することで、スムーズな移動やロックの解除が可能となり、ユーザーの利便性向上につながります。

 

アクセス管理を効率化できる

顔認証はカメラを通じて行われるため、セキュリティスタッフ側での特別な操作や案内が不要で、短時間で認証できます。この非接触型の認証システムにより、物理的なキーやIDカード、指紋認証と比べて効率よく本人確認が可能です。

また、事前に顔データを登録した従業員や利用者のみが出入りできる仕組みを構築することで、アクセス管理が自動化されます。これにより、管理コストを削減でき、業務効率を大幅に向上させることが可能です。

このような特徴から、特に人の流れが多い場所での入退場管理や、決済時の迅速な認証が求められる場面で活用が進められています。



3. 顔認証システムの導入事例


 

 

実際に、顔認証システムはさまざまな企業で活用されています。以下では、顔認証システムの活用例を紹介します。

 

ウォークスルーによる入退室管理を実現(台湾の石油化学会社)

台湾の大手石油化学会社が台北に完成させた新しい本社ビルでは、複数の棟で5,000人以上の従業員が日々出入りすることが予想されていました。従来のカードリーダーを用いたアクセス管理では、時間帯によっては多数の従業員が列をなして待つ可能性があり、効率的なアクセスコントロールが課題として挙げられました。

そこで、高精度な顔認証技術を組み込んだサイバーリンク社のアクセスコントロールシステムを導入しました。

このシステムは、角度がついた状態や遠距離、歩行中でも高い精度で認証できるため、ウォークスルーでの入退室管理が可能です。

導入により、従業員の利便性と業務効率の向上に大きく貢献しています。

参考:https://jp.cyberlink.com/faceme/insights/cases/1143/petroleum-industry-access-control-time-attendance-faceme-facial-recognition

 

シニアレジデンスの見守り機能に貢献(三井不動産レジデンシャル)

三井不動産レジデンシャルは国内初の試みとして、運営するシニアレジデンス「パークウェルステイト西麻布」の全340居室へ玄関ドアおよび共用施設に顔認証システムを導入しました。このシステムにより、入居者は顔認証を用いたストレスフリーな移動が可能になり、利便性と安全性が向上します。

NECが提供するこの顔認証システムは、各居室の他にエントランスやプールなどの共用施設にも導入され、鍵を持たずに外出できるだけでなく、館内の移動もスムーズになります。これにより、入居者は鍵の紛失や置き忘れの心配、荷物を持ちながらの煩わしい操作から解放されます。

また、大浴場など特定の場所での長時間滞在者の把握や安否確認システムとの連携が可能で、従来の鍵システムでは難しかった入居者の見守り機能も実現できます。


参考:https://jpn.nec.com/press/202407/20240729_01.html

 

デジタルスタンプラリーで来店を促進(全日空商事株式会社)

全日空商事株式会社では、飛行機に搭乗する旅客が往路と復路の両方でANA FESTAへ立ち寄りやすくなるよう、参加しやすい顔認証スタンプラリーサービスを導入しました。

この顔認証スタンプラリーサービスは、パナソニックの顔認証技術と日立製作所のPBI搭載の生体認証統合基盤サービスが採用されています。

スタンプラリーサービスは、事前にスマートフォンで顔情報を登録し、ANAマイレージクラブの旅客番号と紐づけます。そうすることで、店舗でカードやスマートフォンを取り出すことなく顔認証だけで簡単に利用できる仕組みです。

顔情報は暗号化されて復元不可能な形で保存されているうえに、ANAグループの高いセキュリティ基準を満たせるように構築されています。

導入後、ユーザーの参加状況は好調で、最初の目標値を早々に達成し、上方修正が行われるほどの反響を得ています。高い認証精度により安心して利用できることと、顔認証スタンプラリーの参加のしやすさが来店促進に大きく貢献しています。


参考:https://connect.panasonic.com/jp-ja/case-studies/anagroup



4. 顔認証システムを導入する際の注意点


 

 

顔認証システムは便利な一方で、導入する際にはいくつか注意点があります。以下では、特に注意すべき事項について紹介します。


顔データのプライバシー保護

顔データは個人情報に該当するため、その取り扱いには細心の注意が必要です。特に、データを取得する際には、利用目的を明確にし、本人に通知することが求められます。

プライバシーに関するポリシーを確立して初めて、利用者が自身のデータがどのように使われるかを理解し、安心して顔認証システムを利用できる環境が整います。

また、顔データの暗号化や匿名化といった技術的なセキュリティ対策が重要です。これらの対策を徹底することで、プライバシー保護を確実にし、データの漏えいリスクを最小限に抑えることが可能になります。

顔認証技術の利便性とプライバシーの両立を図るため、企業は厳格なデータ保護方針の策定と運用が求められます。

 

質の高い学習データが必要

顔認証システムの精度を高めるには、質の高い学習データが必要です。質の低いデータを使用すると、認証精度が低下し、誤認や認証エラーのリスクが増加するからです。

そのため、マスク着用時や極端に明るさが変わる場所など特定の条件下でも安定した性能を発揮できるように、多様なデータを集める必要があります。

また、システムで登録するデータには正確な画像アノテーション、つまり正解ラベル付与を施すことも重要です。適切にアノテーションされたデータを用いることで、AIが顔の特徴を正確に学習でき、認証精度が向上します。

学習データの質を確保することにより、ユーザーにとって安全かつ快適な認証システムを提供することが可能になり、満足度の向上につながります。

 

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利用環境を整備する

顔認証システムの精度は、照明条件や天候などの外的要因の影響を受けます。そのため、システムの導入に際しては、環境要因が認証精度に与える影響を考慮し設置場所を慎重に検討することが重要です。

例えば、屋外に設置する場合は、直射日光や雨風の影響を受けないよう工夫が必要です。また、屋内でも時間帯等の要因で照明の明暗や角度が大きく変わる環境ではシステムのパフォーマンス低下につながる可能性があります。

利用環境を最適化することで、顔認証システムの精度が高まり、スムーズな運用につながります。

 

法的規制に対応する

顔認証システムの導入においては、個人情報保護法などの関連する法律や規制に従う必要があります。顔データは個人情報として扱われるため、収集や利用には法律に基づいた適切な手続きが求められます。

特に、顔データの収集に際しては、利用目的を明確にし、本人の同意を得ることが重要です。従業員の顔認証データを取り扱う場合、労働基準法や労働安全衛生法などの遵守も必要になります。

また、データの保管・管理にも高いセキュリティ基準が求められ、情報漏れや不正利用を防ぐための対策が必要です。

データ収集に関する注意点についてはこちらの記事も併せてご覧ください。

 

なりすまし対策

近年、AI技術の進展とともに、ディープフェイク技術も急速に進化し、本人そっくりの画像を使ったなりすましの被害も増加しています。なりすましには、機密情報への不正アクセスや金融取引の不正実行、物理的なセキュリティゾーンへの不正侵入といった深刻なリスクが懸念されます。

このようなリスクに対処するためには、マルチモーダル認証の導入や3D顔認識技術の活用が有効です。

マルチモーダル認証では、顔認証だけでなく、指紋や虹彩といった他の生体認証を組み合わせることで、認証精度をさらに高め、不正アクセスのリスクを低減できます。

また、3D深度センサーを用いた立体認識により、平面画像では判断が難しいディープフェイクによるなりすましを防げます。

 

5. まとめ


顔認証技術の導入は、単なるセキュリティ強化だけでなく、非接触で迅速な本人確認を可能にするため、従業員の効率向上や顧客体験の向上にも大きく貢献します。

また、顔認証技術は、社内の業務効率向上や提供サービスのセキュリティ強化を実現するために欠かせません。多様な環境に対応できる顔認証システムの導入によって、企業に欠かせない信頼性の高いセキュリティ基盤を築くことができます。顧客にとっても従業員にとっても安心して利用できる環境を提供するための重要なステップといえるでしょう。

 

 

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