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異常検知とは?使う機械学習モデル・手法・活用事例を徹底解説!

 

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異常検知には膨大な時間がかかるうえ、熟練の技術が必要とされます。特定の従業員に負担が集中している企業も多くあるでしょう。

そのため、点検業務を省力化したい、異常検知作業の属人化を解決したいとお悩みの方は多いのではないでしょうか。

このような課題は、AIによる異常検知システムを導入することで解決します。本記事では、異常検知システムを導入するメリットや活用例をご紹介します。最後までお読みいただければ、導入時の注意点や得られる効果をお分かりいただけます。

 

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異常検知とは?


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異常検知とは、大量のデータと比較して、通常とは異なる要素(異常)を検出する手法です。故障や不正をシステムが代替するため、これまで人手を割いていた監視業務の省力化が可能になります。

異常検知は画像や動画、文章などのさまざまな媒体が対象です。異常検知が用いられることが比較的多い領域は、画像系と時系列データ系の2つに分別されます。

画像系に対する異常検知では、静止画内の異常を検知します。画像に対する異常検知では時間が考慮されないため、主に視覚的な異常が対象となります。

一方、時系列データに対する異常検知では、時間の経過に伴って起きる変化の異常を検知します。心電図やクレジットカードの不正利用検知などの異常検知に用いられます。

本記事では、主に画像に対する異常検知に焦点を当てて解説します。


異常検知に用いられる主な学習方法

異常検知には、主に下記の学習方法が用いられます。

機械学習モデル 手法の概要 異常検知への応用方法
教師あり学習 入力データとそれに対応する正解(ラベル)の両方を提供して学習させる手法 与えられたラベルを基にデータの特徴を学習し、新しいデータに対して正常か異常かを判断します
正解のデータセットがあるため、より精度の高い予測を行うことが可能
教師なし学習 正解ラベルを与えずにデータのみを用いて学習する手法
モデルがデータ内の隠れた構造や関係性を自力で発見
データ内の隠れた構造や関係性を自力で発見することで通常のデータパターンを理解し、それから逸脱するデータポイントを異常として特定します
データラベルを事前に準備することが困難または不可能な場合は非常に有効
半教師あり学習 教師あり学習の結果を活用して、教師なし学習におけるデータに部分的に正解ラベルを付与する手法 全てのデータに正解のデータを付与する必要がないため省力化が可能です
ラベル付きデータを使用することで、教師なし学習よりも高い精度と信頼性を得ることが可能
強化学習

システムに一定の条件下で試行させ、目標に近づく行動ほど高得点を与える学習方法正解ラベルを直接与える代わりに、試行錯誤を繰り返しながら、どのような行動が高い報酬をもたらすかを学習します。

複雑な環境や多数の変数が関わる状況において、最適な戦略や方策を探求するのに適しています

 

画像ベースの異常検知に用いられる機械学習モデル

画像ベースの異常検知に特に用いられているモデルは深層学習です。深層学習は、人間の神経の仕組みを模したニューラルネットワークを用いています。入力層、複数の隠れ層、そして出力層から構成されます。

データ内の複雑な特徴や関係を捉える能力が高いので、複雑な画像データからパターンや異常を識別するのに強みを発揮します。



画像による異常検知の活用例


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画像による異常検知は、以下のような場面で活用されています。

  • 天候予測
  • 安全確認
  • 外観検査
  • 医療診断

それぞれについて解説します。

 

・天候予測

ア過去の観測データを活用することで、異常気象を予測できます。例えば、気象庁はJR東日本と共同研究を行い、突風などの異常気象を予測するシステムを開発しています。

竜巻などの突風が発生すると、ドップラーレーダーには渦が現れます。この特徴を活かし、過去に蓄積した3万点以上の渦のデータを与えて、突風が発生する条件を学習させました。

このプロセスの中で、AIは膨大なデータポイントからパターンを学び、それを未来の予測に応用します 。突風を伴う渦なのかどうか判断するのに深層学習を活用しています。

異常検知技術によって気象予測の精度を飛躍的に高め、早期警告システムの効果を向上させることが期待されています。

 

・安全確認

安全確認の分野では、異常検知技術が効率化と安全性向上の両方を実現します。異常検知を活用すれば、従業員の持ち物検査を自動化でき、安全確認の省力化が実現します。

例えば、工場や建設現場で入場時と退場時で自動的に持ち物検査を行えば、必要な工具の持ち込み忘れや、工具の置き忘れを高い精度で識別可能です。保守管理の際に、現場に工具を置き忘れてしまうと重大な事故につながる可能性があります。

人間の目では見落としがちな細かな点も、システムによる検査で高い精度で確認できるため、全体の安全性が高まります。システムで検査することで、人が確認するよりもミスの可能性を低減できるため、安全性を高めることができます。

 

・外観検査

画像による異常検知は、高い技術が必要な外観検査でも活用されています。従来、製品の品質検査は人の目によるチェックが中心でしたが、異常検知システムの導入により、検査の自動化が実現されています。

例えば、自動車の塗装面や電子機器の基板など、大規模な外観検査が必要な場所で、異常検知システムが用いられています。従来数時間から数日かかっていた検査が大幅に短縮され、また人手も大幅に削減されています。システムが自動で異常を検知し、分析することで、検査の質の向上と効率化が実現しています。

外観検査は時間がかかる作業でしたが、システムが自動で行ってくれるため、人手を割く必要はありません。検査時間や労力を半分以下に削減できている例もあり、活用が進んでいる分野です。

  • 医療診断

医療の現場でも異常検知が活用されています。病院では、     CTやMRIなどの画像診断において、AIによる異常検知システムが導入されることで、従来は医師が目視で行っていた異常の判断が、システムによって補助されるようになりました。

システムを活用すれば病気を見落とすリスクを低減でき、経験の浅い医師であっても正確な判断が下せるようになります。また、世界中のデータを診断に活用できるため、より高度な診断ができるようになるでしょう。


 

画像による異常検知を使うメリット


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画像による異常検知を使うメリットとして、以下の4つが挙げられます。

  • 高度な検知の実現
  • 属人化の防止
  • コスト節減
  • 生産性の向上

それぞれについて解説します。


・高度な検知の実現

異常検知システムは、学習した異常パターンに基づき、24時間体制で精度高く異常を検知する能力を持っています。システムは、異常のパターンさえ学習していれば、24時間いつでも見落とすことはほぼありません。

一方、人間は眠気や疲れにより、集中力が途切れるタイミングが出てきてしまいます。その際に異常が発生してしまっては、対応の遅延や見落としのリスクが非常に高くなります。

対照的に、AIシステムはこのような物理的な制約から自由であり、一貫して高い精度で異常を検知し続けることができます。特に、被害の拡大を防ぐため迅速な対応が求められる環境では、このシステムの導入は非常に価値が高いと言えます。


・属人化の防止

異常検知システムは、利用方法さえ覚えてしまえば特別な技術や経験がなくても利用できます。人による異常検知は、高いスキルや長年の経験が必要とされることが多いです。一方で、異常検知システムは比較的容易に操作を学ぶことができ、特別な技術や経験を必要としません。

また、システムの使い方を覚えるだけで異常検知できるということは技術の継承も容易になります。特定のスキルを持つ従業員に依存していた作業を、より多くの人が行えるようにすることで、作業の負担を分散し、業務の持続可能性を高める効果を持ちます。


・コスト節減

異常検知システムは、初期費用こそ高額な場合が多いですが、長期的な観点で見ると、人件費やその他運営コストの削減により、全体的なコスト効率が向上します。人の目による異常検知では、継続的な人件費やシフト管理、採用コストが発生しますが、システムによる検知ではこれらのコストが大幅に削減される可能性があります。

人手が少なくて済むと、従業員のシフト管理や採用にかかるコストも削減できます。そのため、管理職の業務負担も軽減され、より戦略的な業務に集中することが可能になります。


・生産性の向上

異常検知システムを用いれば、異常検知に割く労力を削減できます。これらのリソースをより価値の高い業務に充てれば、生産性が向上するでしょう。これまで異常検知に多くの労力を費やしてきた企業は、生産力を大きく上げられるかもしれません。

生産性が上がれば企業の利益が増し、さらなるシステム導入やDX推進に投資できるようになり、効率化が図れるようになります。したがって、異常検知システムの導入は、コストと労力の削減だけでなく、長期的なビジネスの成長戦略においても重要な一歩となり得ます。



異常検知を導入する際の注意点


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異常検知システムの導入時には、以下の点に気をつけることで効果を最大限に引き出せます。

  • システムの理解が必要
  • 十分な量の異常データが必要
  • 高品質な画像アノテーションが必要

それぞれについて解説します。



・システムの理解が必要

異常検知システムを最大限に活用するためには、関係するスタッフがシステムの仕組みと機能を十分に理解していることが重要です。これには、システムがどのように動作し、どのような種類の異常を検知できるか、そしてその結果をどのように解釈し対処するかが含まれます。

システムを内製開発する場合には、システムの理解はもちろん、異常検知に対する理解も必要になります。特に、機械学習を用いて異常検知する場合には、異常を検知する仕組みやモデルの基礎となるデータの種類・バランスなど、理解しなければならないことが多くあります。

運用にあたる従業員がシステムの機能を完全に理解していれば、より効率的に運用し、問題が発生した際に迅速に対応することができます。異常検知に詳しい人員がいない場合、外部の専門家への相談も検討してみましょう。


・十分な量の異常データが必要

基本的には、AIによる異常検知システムが効果的に機能するためには多量の正常データと異常データの両方を必要とします。システムは、学習済みの異常パターンは高い精度で検知できますが、未学習の異常パターンは見落としてしまう可能性があるからです。

そのため、過去に起こった異常のほか、より多くの起きうる異常パターンを学習させましょう。実際の異常事例を多く含むデータセットを用意することで、システムは正常と異常をより効果的に識別できるようになります。

しかし、新たなビジネスを始める場合や、過去のデータが限られている状況では入手可能な異常データが少ないかもしれません。その場合は、異常データが少ない、または全くない状況においても有効な教師なし学習や半教師あり学習の手法を用いることも可能です。

使用できる異常パターンデータが少ない場合は、まずは利用可能な正常データだけを使ってシステムを訓練し、時間が経過するにつれてデータを蓄積していくアプローチも検討しましょう。     

 

・高品質な画像アノテーションが必要

精画像ベースの異常検知システムでは、画像のアノテーション(ラベリング)の品質が非常に重要です。教師あり学習でモデルを構築する場合、それぞれのデータに対して正解を付与する必要があります。それが、アノテーションというラベル付け作業です。

ラベル付けされたデータは、モデルが正解を導く基礎となるため、高性能なモデルの開発には、高品質なアノテーションが求められます。

高品質なアノテーションは、システムが正確に異常を検知し分類するための基盤を提供します。アノテーションは、画像に正解を付与するだけの簡単な作業だと思われがちですが、対象物に応じてラベル付けの方法が違ったり、解像度を調節しなければならなかったりと、高度な技術が求められます。

アノテーションの精度が悪く、モデルに必要な性能が得られなかった場合、何千、何万枚もの画像をアノテーションしなくてはならない事態になることもあります。高性能なモデルが必要な場合は、アノテーションを品質高く行うことを心がけてください。



まとめ


異常検知システムの活用は、省力化やコスト節減、属人化の防止に役立てられます。外観検査や安全確認など異常検知に多くの労力を割いている企業の方は、AIシステムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

高性能なAIモデルにするために、高品質なアノテーションを意識するようにしてみてください。とはいえ、アノテーションを品質高く行うには専門的な知識や技術が必要です。高性能なモデルが必要な方は、アノテーション専門会社への相談も検討してみてください。




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