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姿勢推定とは?用いられるAI技術や活用事例・手順・アノテーションの重要性を徹底解説!

作成者: 株式会社Nextremer|Aug 26, 2024 2:37:00 AM


AIによる姿勢推定は精度が高く、さまざまな業界で活用されています。一方で最先端技術でもあるため、仕組みや手順が分からず導入までの実現プロセスが見えないとお悩みの方も多いのではないでしょうか。

この記事では、姿勢推定で用いられているAI技術や活用事例、仕組み、そして姿勢推定を実現するキーポイントアノテーションの重要性について解説します。本記事を読めば、姿勢の仕組みや使い方を理解し、導入に向けて基本的な知識が身につきます。


 

 

【目次】

  1. 姿勢推定とは?
  2. AIを活用した姿勢推定の活用シーン
  3. 姿勢推定を始めるための手順
  4. 姿勢推定におけるキーポイントアノテーションの重要性
  5. まとめ

 

 

1. 姿勢推定とは?

 

姿勢推定とは、画像や映像などのデータから人・動物の骨格や関節の位置を特定し、姿勢を解析するAI技術です。画像や映像をディープラーニングモデルに入力し、モデルが各関節の位置を予測することで姿勢推定が可能です。

姿勢推定の技術については、従来はセンサーやマーカーで取られた高度に専門的なデータによる幾何学的な推定が主流でした。しかし、AI技術の発達により、カメラやスマートフォンで撮影したデータからでも正確に骨格を検出し、姿勢をより高度に解析できるようになっています。

AIを用いた姿勢推定は、検出精度が優れており、さまざまなシーンで活用されています。



姿勢推定で用いられるAI技術

姿勢推定においては、機械学習とディープラーニングの技術が利用されています。

機械学習はコンピュータがデータから学習し、明示的なプログラミングなしにタスクを遂行するための技術です。大規模なデータセットから特徴を抽出し、モデルを訓練することで、姿勢推定の精度を向上させます。

ディープラーニングは機械学習の一分野であり、多層ニューラルネットワークを使用して蓄積されたデータから複雑なパターンを学習します。大量のデータと高い計算能力を活用して、高度なパターン認識を行い、姿勢推定の精度を大幅に向上させます。

特に、人間の視覚システムにインスパイアされた構造を持つ畳み込みニューラルネットワーク (CNN)は、画像から特徴を自動的に抽出し、キーポイントの位置を予測します。
 
他にも、姿勢推定ではさまざまなアルゴリズムが活用されていて、複数のアルゴリズムを組み合わせることで、解析精度を高めています。その中でもAI技術の重要度は高く、姿勢推定の精度を左右します。


ボトムアップ型とトップダウン型の違い

姿勢推定では、ボトムアップ型とトップダウン型の2つのアプローチスタイルがあります。姿勢推定という目的は同じであるものの、検出方法が異なります。

ボトムアップ型とトップダウン型は、それぞれメリットとデメリットがあるため、用途やシーンに応じて使い分ける必要があります。姿勢推定技術を導入する際は、目的や画像・映像データのタイプに応じて選定しましょう。


ボトムアップ型

ボトムアップ型の姿勢推定は、まず画像全体から全ての関節点(キーポイント)を検出し、その後に検出したポイントを組み合わせて個々の人物の骨格を構成します。

ボトムアップ型の姿勢推定では 画像内の全ての関節点を一度に検出するため、多人数が写っている画像でも効果的に解析することが可能です。

そのため、処理時間を短くしつつ、多人数が存在するシーンや複雑な背景でも解析できますが、精度が低くなる可能性があります。


トップダウン型

一方トップダウン型の姿勢推定は、画像内の人物を検出した後に個々の人物ごとに姿勢推定を行う手法です。初めに人物を検出し、その後に各人物の関節点を推定するため、人物検出の精度が全体の精度に大きく影響します。

各人物ごとに姿勢推定を行うため、ボトムアップ型に比べて計算負荷が高くなりがちですが、単一人物や少人数の姿勢推定においては高い精度と効率を発揮します。



 



2. AIを活用した姿勢推定の活用シーン


実用化が進む姿勢推定は、以下のような分野で活用されています。

  1. ヘルスケア
  2. スポーツ
  3. セキュリティ
  4. エンターテインメント
  5. 製造・物流


それぞれの活用事例について解説します。


1. ヘルスケア

ヘルスケア分野において、姿勢推定は重要な役割を果たしていて、特にリハビリテーションやフィットネスの分野で効果を発揮します。患者の動きをリアルタイムで解析し、正確なフィードバックを提供することで、効果的な治療やトレーニングをサポートします。

また、デスクワークや長時間の立ち仕事などでの姿勢管理にも利用され、腰痛や肩こりの予防に役立っています。姿勢の悪化を検知し、改善するためのアドバイスを提供することも可能で、健康を維持するのに欠かせないデジタル技術です。


2. スポーツ

姿勢推定は、スポーツ分野での応用も広がっています。アスリートの動作解析に活用されることで、パフォーマンスの改善に向けたサポートが可能です。

具体的な活用方法として、トレーニング中のフォームチェックや、競技中の動作分析に役立ちます。また、不自然な動きや過剰な負荷を検知することも可能で、怪我の予防にも重要な役割を果たします。コーチやトレーナーがリアルタイムで選手の姿勢を確認し、即座にフィードバックを提供することで、効果的な指導が実現します。


3. セキュリティ

姿勢推定はセキュリティ分野にも貢献する技術として注目されています。特にカメラとの相性が良く、監視カメラと組み合わせることで不審な行動をする人物を自動的に検出し、迅速な対応を可能にします。

例えば、イベント会場や店舗にやって来る人の動きを追跡し、特定のエリア内での危険行動を検知するシステムに利用されます。また、群衆の中からでも不審な動きをする人物を特定できるため、ライブ会場やスポーツ施設での混雑やパニックを未然に防ぐためのツールとしても活用されています。

姿勢推定とセキュリティ分野の組み合わせは、犯罪の抑止や緊急事態への対応力を向上させ、安全性の確保に役立ちます。


4. エンターテインメント

姿勢推定は、エンターテインメント業界にも革新をもたらしています。ゲームやアニメーション制作において、その技術は広く利用されています。

姿勢推定技術を活用したモーションキャプチャにより、キャラクターの動きを正確にデジタル化し、リアルな動作を実現します。また、バーチャルリアリティ(VR)や拡張現実(AR)の分野でも、姿勢推定によってユーザーの動きをリアルタイムで反映させることで、より没入感のある体験を提供します。

姿勢推定を活かした体験型のエンターテインメントが普及することで、視聴者やプレイヤーに新しい楽しみ方を提供します。

 

5. 製造・物流

画工場や倉庫での作業員の動作を姿勢推定が搭載されたカメラで監視し、その動作から効率的かつ安全な作業を提案・サポートします。例えば、不適切な持ち上げ動作や過剰な負荷がかかる動作を検知し、労働災害の防止に役立てることができます。

また、作業の自動化やロボットの動作最適化にも利用され、効率的な生産ラインの構築が可能です。こうしたデジタル技術による作業効率の向上は、人材不足が深刻化している製造・物流業界において効果的です。

 

 


3. 姿勢推定を始めるための手順

 

姿勢推定は、以下の手順に沿ってAIモデルを構築します。ここでは2次元の姿勢推定モデルを構築する場合の流れについて説明します。

  1. データの収集
  2. アノテーションツールの選定
  3. キーポイントの定義
  4. アノテーション作業の実施
  5. 推定データの出力・評価

それぞれの手順について解説します。


1. データの収集

AIによる姿勢推定を行うには、学習の対象となるデータがなければ始まりません。まずは対象の動作を撮影した画像や動画を集めます。公開データセットや自社で撮影したデータを使用します。ただし、公開データセットを使用する場合は、ライセンス上の問題がないかを事前に確認するようにしてください。

姿勢推定の精度を高めるには、高品質なデータを取得する必要があります。例えばカメラで動画データを収集する場合は、配置や照明条件を調整することでクリアな動画を撮影できます。

また、多様な動作や姿勢を網羅するために、異なる環境や状況でのデータ収集が求められます。同じ角度から撮影したデータばかりではなく、複数のアングルから画像や動画を撮影することで、姿勢推定の精度を高めることが可能です。

 

2. アノテーションツールの選定

姿勢推定のアノテーション作業を効率的に行うには、目的に合ったアノテーションツールを選定することが重要です。
選定する際は、以下の点を考慮します。

  • 使いやすさ:
    直感的なユーザーインターフェースを持ち、作業者がスムーズにアノテーションを行えるツールを選びます。

  • 機能の充実性:
    キーポイントの配置、座標情報の記録、複数の作業者間での共同作業など、必要な機能が備わっているかを確認します。

  • データ形式の互換性:
    アノテーション結果を、AIモデルの学習に適した形式で出力できるツールを選びます。

  • 拡張性:
    プロジェクトの規模に合わせて、ツールが柔軟に拡張できるかを考慮します。

代表的なアノテーションツールの一つに、COCO-Annotatorがあります。これは、COCOデータセットのアノテーションを目的として開発されたオープンソースのツールです。プロジェクトの要件によっては、他のツールが適している場合もあります。プロジェクトの目的、規模、予算などを総合的に考慮し、最適なアノテーションツールを選定することが重要です。



3. キーポイントの定義

姿勢推定を実現するには、キーポイントアノテーションを行う必要があります。

キーポイントの定義とは、対象の骨格や関節の位置を定義する作業です。一般的には、鼻、目、肩、肘、手首、腰、膝、足首などが含まれます。

各関節点にラベルを付けることで、姿勢推定モデルが認識しやすくなり、より高度な姿勢推定ができるようになります。
キーポイントの配置方法や、曖昧な場合の判断基準も明確にします。



4. アノテーション作業の実施

アノテーション作業では、収集した画像や動画データの各フレームに対して、事前に定義したキーポイント(関節点)を正確に配置していきます。

アノテーションツール上で、これらのキーポイントを画像上の適切な位置にマーキングし、その座標情報を記録します。作業を効率的に進めるためには、明確なアノテーション基準を設定し、作業者間で認識を統一することが重要です。

ポイントの設定が完了したら、骨格構造と姿勢の推定を行います。畳み込みニューラルネットワーク(CNN)などのAIアルゴリズムが画像・動画データを解析し、関節の位置とそれらを結ぶ骨格が検出されます。処理されるデータの量やバリエーションの豊富さによって、骨格と姿勢の推定精度が変動します。



5. 推定データの出力・評価

姿勢推定のアノテーションが完了すると、姿勢推定モデルが生成した骨格構造や姿勢情報を可視化し、推定精度をレビューします。姿勢推定のデータは、対象のデータで検出された人物の姿勢を推定した結果として出力されます。

推定結果の評価には定量的な指標が使用され、例えば平均誤差などで推定結果を分析します。姿勢推定結果に基づいてモデルの性能を把握し、必要に応じて改善点を見つけることで、認識精度を向上させることができます。

 



4. 姿勢推定におけるキーポイントアノテーションの重要性


アノテーションとは、データに対してラベルやマークを付ける作業であり、AIモデルが正確に学習するために欠かせない技術です。キーポイントアノテーションは姿勢推定において、重要な役割を果たします。

アノテーションの品質が低いと誤った推定結果が出る可能性が高まるため、正確なアノテーションが求められます。


姿勢推定実現のためのキーポイントアノテーション

姿勢推定を実現するために重要なのが、キーポイントアノテーションです。

キーポイントアノテーションとは、画像内の人間や動物の関節や特徴点にラベルを付ける作業で、モデルが正確に学習するために不可欠なアノテーションです。肩・肘・膝・足首などの関節点を特定する手法です。

姿勢推定の基本的な仕組みには、キーポイントアノテーションが活用されています。キーポイントアノテーションが施されたデータを利用し、それに基づき姿勢や骨格を推定する流れです。

このように、姿勢推定の仕組みとしてキーポイントアノテーションが活用されている点からも、姿勢推定においてアノテーションが重要であることが分かります。

 

 AIモデル精度の向上にはアノテーションが不可欠

姿勢推定の精度を高めるためにはアノテーションが不可欠であることがお分かり頂けると思います。

質の高いアノテーションが提供されると、モデルは関節点の正確な位置を理解し、異なる姿勢や動作を検出する精度が向上します。反対に、アノテーションが不正確であると、モデルの推定結果に誤差が生じ、実用性が損なわれます。

また、高品質かつ継続的なアノテーションを行うことは、モデルの改善において重要です。推定結果のフィードバックを基にアノテーションを見直し、モデルの学習データを更新することで、姿勢推定の認識精度を向上させることができます。
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5. まとめ

姿勢推定は画像や動画から人物の姿勢を推定できる技術として、さまざまな分野で活用されています。姿勢推定技術を自社に取り入れる場合は、アノテーションについても理解を深める必要があります。

キーポイントアノテーションの仕組みやその重要性を把握していないと、正確な姿勢推定やモデルの向上ができず、実用化に至るレベルまでの品質にすることができません。

姿勢推定におけるアノテーションの重要性を理解した上で、姿勢推定技術の導入を進めてください。