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3Dアノテーションとは?種類や方法、活用例・課題を解説!

作成者: 喜多 俊之(株式会社Nextremer)|Mar 18, 2025 4:28:00 AM

 


AI(人工知能)が急速に発展を遂げる中、3Dデータを活用する需要が高まっています。この背景で注目を集めているのが「3Dアノテーション」です。

3Dアノテーションとは、3Dデータに対してラベル付けやタグ付けを行い、AIモデルが形状や空間情報を理解できるようにするプロセスです。従来の2Dアノテーションでは限界があった深さや構造の情報を補完するため、3Dアノテーションはロボティクスや自動運転など幅広い分野で不可欠な技術となっています。

一方で、「3Dアノテーションの具体的な方法や種類は?」といった疑問を持つ方も多いでしょう。  

本記事では、3Dアノテーションの基本概念や種類、今重要性が高まっている理由を詳しく解説します。また、活用例や現状の課題についても触れます。  

最後までお読みいただくことで、3Dアノテーションの基礎から応用までを理解し、AIモデルの開発や業務への導入に役立てるための知識を得ることができます。

 

 

 

【目次】

  1. 3Dアノテーションとは?
  2. 3Dアノテーションの活用例
  3. 3Dアノテーションを行う方法
  4. 3Dアノテーションを行ううえでの課題
  5. まとめ

 

 

1. 3Dアノテーションとは?


3Dアノテーションは、3Dモデルや点群データ、3Dスキャンデータに対して、物体の位置・形状・特性などの情報をラベル付けするアノテーション技術です。

従来の2Dではなく、3Dモデル上に直接表示する仕組みにより、空間的な関係性や物体の詳細など設計・製造に関する情報をより明確に伝えられる点が特徴です。

例えば、3Dアノテーションデータを機械設計に用いれば、部品の寸法や材質、加工方法などを視覚的に共有できるため、設計者間のコミュニケーションを円滑にできます。

3Dアノテーションは、建築や製造業、自動運転技術、AR/VRの開発などさまざまな分野での活用が期待されています。


点群データ・LiDARとは?

3Dアノテーションを深く理解するためには、「点群データ」と「LiDAR」の基本的な概念を押さえることが重要です。

まず、点群データとは、3D空間内の物体や環境を点の集合で表現したデータ形式のことです。通常、数百万から数十億の点が含まれており、それぞれの点には以下のような情報が含まれています。

X/Y/Z座標情報:

各点の3次元空間における位置を示すデータ

属性情報:

色や反射強度など物体の特性を表すデータ

点群データは、高精度な3Dモデル作成の基盤となります。特に、ディープラーニング技術の発達により、点群データを処理する精度と効率が向上しています。点群データは自動運転やロボティクス、建築物のモデリングといった幅広い分野で活用されています。

そして、点群データを取得する方法の一つが「LiDAR」です。LiDARとは、レーザー光を対象物に向けて照射し、反射時間を計測することで距離を算出するセンサー技術です。

LiDARを利用すれば、高密度で正確な3D点群データを取得でき、物体の形状や位置を詳細に把握できます。LiDARは、自動運転技術やドローン測量、インフラ点検など、高精度な環境データが必要な分野で欠かせない技術です。



手法の種類

3Dアノテーションを行う手法には、以下のような種類があります。


バウンディングボックス:

直方体のバウンディングボックスを用いて、オブジェクトの位置特定と分類を行う。自動運転車の周囲環境認識などに使用され、計算負荷が低く、小規模なシステムでも実装しやすい。

セマンティックセグメンテーション:

空間内の各ポイントや領域に特定のクラスラベル(例:地面、植生、建物など)を割り当てる。

インスタンスセグメンテーション:

各オブジェクトを個別に識別するためのラベル付け。例えば、複数の車がある点群では、各車両を個別のインスタンスとしてラベル付けします。

オブジェクトの検出:

特定のオブジェクトに属する点をラベル付け。例えば、車、木、建物などの識別に使用されます。

これらの手法は、アノテーションの目的やデータの特性に応じて使い分けられます。




2. 3Dアノテーションの活用例


3Dアノテーションは、自動運転やロボティクス、医療分野など幅広い分野で活用が進められています。ここでは、3Dアノテーションの活用例について紹介します。


自動運転

自動運転の分野では、周囲の物体や環境を正式に認識するために3Dアノテーションが活用されています。

例えば、車両周辺の3D空間内に存在する車両や歩行者、信号機など認識したオブジェクトに対してアノテーションすることで、自動走行車の判断力を高めることに貢献しています。3Dアノテーション技術は衝突回避や経路計画へ応用されており、自動運転の安全性を強化します。


ロボティクス

ロボティクスの分野においても、3Dアノテーションは多様な応用が可能です。

例えば、ロボットが物体をつかむ際に必要な、物体の位置や形状に関する情報を取得するのに役立ちます。また、ロボットが動作中に障害物を認識して回避したり、周囲の環境を把握して移動したりする際の基礎データとしても活用可能です。

このように、3Dアノテーションデータはロボットの動作計画に活用され、ロボットの効率性と安全性の向上に貢献しています。


医療分野

医療分野では、CTスキャンやMRI画像の解析に3Dアノテーションが活用されています。

具体的には、MRI画像などに写る臓器や病変部位にラベル付けし、医療従事者が診断を行う際の補助データとして利用されています。また、臓器・異常部位の自動認識やAIによる診断支援技術に応用すれば、診断の効率化や精度向上が期待されます。

 

AR/VRコンテンツ制作

ARやVRの分野においても、3Dアノテーションは欠かせません。

例えば、仮想環境での物体の配置や動きのトラッキングを可能にし、ユーザーインタラクションの設計に活用されています。また、仮想空間と現実世界の統合をよりスムーズにし、ユーザーの没入感を一層高める効果もあります。

そのため、3Dアノテーションはゲームや教育、トレーニングシミュレーションなど、多岐にわたるAR/VRコンテンツの品質向上に役立てられています。

 

3. 3Dアノテーションを行う方法

 

ここでは、3Dアノテーションを実際に行う方法を2つ紹介します。どちらの方法にもメリットとデメリットがあり、プロジェクトの規模や目的に応じて選択する必要があります。

アノテーション代行サービスに依頼する

高精度な3Dアノテーションを行うためには、アノテーション代行サービスを利用する方法が最適です。

代行サービスを利用すれば、専門のスタッフによる高品質なアノテーションが期待できます。特に、森林や都市のようなオブジェクトの数が多く、形状も複雑なデータであっても、短時間で正確なアノテーションデータを得られます。

一方、高精度なアノテーションを施してもらえる分、コストの高さを懸念している担当者も多いようです。確かに、3Dアノテーションは、テキストや音声データに比べて単価は高額になる傾向にあります。それでも、多くの場合、内製時に発生する人件費や教育費を考慮すると、代行サービスを利用する方が全体のコスト面で有利な場合が少なくありません。

ネクストリーマーは、高精度なAIモデルを実現する3Dアノテーションサービスを提供しています。3Dアノテーションの外注を少しでもお考えの方は、無料で相談可能ですので、いつでもご相談ください。


アノテーションツールを使って内製で行う

もう一つの方法は、自社で3Dアノテーション専用ツールを使用して内製化する方法です。

内製のメリットは、社内で進行状況や品質を直接管理できる点です。プロジェクトの進捗に合わせて柔軟に調整でき、設計や開発などのニーズに応じて細やかに対応できます。

ただし、多くの3Dアノテーションツールは汎用的な用途使用に限られています。そのため、自社のニーズが特殊な場合はちょうどよいツールが見つからなかったり、設定の調整に工数を取られる場合もあります。

アノテーションツールを使用する方法は、比較的簡単なアノテーションを行う場合に有効な手段です。

 




4. 3Dアノテーションを行ううえでの課題

 

3Dアノテーションは空間的な関係性など詳細な情報を含む分、アノテーションの難易度をはじめ多くの課題を抱えています。ここでは、3Dアノテーションの課題と解決方法を紹介します。


データの膨大さ

3Dアノテーションにおける最大の課題は、データの膨大さです。

3Dデータは数万から数百万、大規模な場合には数十億のポイントで構成されることもあり、処理や保存の際に膨大なリソースが必要です。例えば、LiDARスキャンや高解像度の3Dモデルは多くのデータポイントを含むため、アノテーション作業自体のスケールが非常に大きく、アノテーションにかかる時間やコストが増大することになります。

このような3Dアノテーションの効率化問題に対し、AIツールを活用する企業も見られます。3D点群データを自動仕分けするAIツールや自動ラベル付けツールが一部のベンダーから提供されています。しかし、適用分野によっては追加学習が必要になるなど、現状ではAIツールの精度が不安定である点や、利用できるツールの選択肢が限られています。

そのため、確実で高品質なアノテーションが求められる場合は、専門のアノテーション代行サービスを活用する方が確実です。



アノテーションの高い専門性

3Dアノテーションには、高度な技術的知識と専門性が求められるため、作業を担える人材が限られています。特に、点群データや3Dモデルの取り扱いには、専用ツールの使用やデータの構造に関する深い理解が必要です。

しかし、熟練したアノテーターを内製で育成するには多くの時間とコストがかかるため、アノテーション作業の効率化を目指すのは簡単なことではありません。

こうした効率化に関する課題に対し、自社で対応することが難しい場合には、アノテーション代行サービスへの外注が解決策として挙げられます。代行サービスを活用すれば、アノテーションの専門知識を持つアノテーターが作業を行うため、品質を確保しながら自社の負担を軽減することが可能です。



動的データのアノテーションの難しさ

点群データに含まれる物体は、部分的に隠されていたり、境界が曖昧であったりすることが多く、正確にアノテーションするのは困難です。

特に、車両や歩行者が移動する場面など動的なシーンでは、物体の位置や形状が時間とともに変化するため、静的データ以上にアノテーションの難易度が高くなります。時間軸に沿った連続的な変化を正確に追跡し、適切なラベルを付与するためには、高度な技術と専門知識が必要です。

動的データを取り扱う際の課題を解消するためには、専用のツールの導入、または専門の代行サービスの利用が効果的です。特に、正確なラベル付けが必要な場合には、動的データに特化した代行サービスの活用がおすすめです。

 



5. まとめ


3Dアノテーションは、自動運転やロボティクス、AIといった最新分野での精度向上を支えるために必要不可欠な作業です。3Dモデルや点群データ、3Dスキャンデータなどの高度なデータ処理と分析が可能となり、設計や製造プロセスの発展に貢献します。

一方で、3Dアノテーションは他のアノテーション作業と比べて自動化ツールが少なく、専用知識や技術が必要なため、自社で内製化するのは容易ではありません。

そのため、高精度かつ効率的な3Dアノテーションを希望するなら、専門のアノテーション代行サービスの利用が有効です。アノテーション代行サービス会社であれば、ラベル付けが難しい複雑に入り組んだ地形の点群データであっても的確にアノテーションが可能です。

3Dアノテーションデータを活用し、自動運転やロボティクスをはじめとする最新分野のビジネスを加速させましょう。